在宅介護奮闘中

去年、長い入院生活にくぎりをつけ、在宅での生活になった。ゆっくり、のんびするはずが、それは、つかのまのことで、四度の入院、三回の手術と慌ただしい毎日。定期検査のつもりが、そのまま入院して、気管切開部のこぶをレーザーで取ったり、さかまつげの手術とシャントの手術をすることに。ホント忙しかった。

気管切開部分から、数種の黴菌が出たりして、よりきめ細かなケアが必要となり、睡眠時間が削られた。
それに加えて、三月の大地震のおかげで、”節電すること”が、負担となる。洗濯回数の多い我が家は、夜中の三時から、三、四度回す。冷暖房器具は、娘の部屋以外は極力避け、医療器具なども節電したりと、我慢と手間をかけたりして、それなりに奮闘した。

そんな中、娘の体調は良く、（手術はしたものの、具合は悪くなかった）意識の状態も少しだが、良くなっており、簡単な命令には答えられる状態になっている。寝返りもできるようになり、介護生活も少しだが楽になったように思う。

何も言えなくて

娘の病院に、娘と同じ年ごろの男の子がいる。
当然、交通事故で、めったにない重症である。
（まぁ、病院中が、どこを見ても、寝たきりの患者ばかりなので、その子だけが特別重症というのではない。）
しかし、娘のように、意識が全く無い訳でもなく、コミニュケーションが取れない訳でもないというのが、切ないのである。
その子が、今度、頭蓋形成術をすることになったのであるが、その手術の説明を自らが聞いたというである。
そして、手術がとても恐いと言う。
恐いだろうよ、誰でも。頭を開けるんだよね。恐いよね、それは。
そんな事を思いながら、心とは反対の事を言ってしまった。
そんなの、大丈夫だよと。
しかし、頭の良いあの子は、察しただろうなぁ。

親御さんも、切ないだろうなぁ。

今日も、また、どこかで、事故が起こってるんだろうなぁ。
新聞に載ってる重体という文字に、やたらと反応してしまう自分になっている。

介護仕様の車

介護仕様の車が必要にせまられて買うわけなんだけども、これが、ちょっと曲者なんだなぁ。
何がって、その車の不便すぎる大きさに、ちょっとげんなり。
娘のリクライニング型の車いすが、小さい車には、どうしても入らず、大きい車にすることになった。
車の担当者、車いすが二つ入るんですよ～。（って、一つでいいんですけど。）
ちょどいい大きさの車は、作られていないらしくて、小さいのか、やたら大きいのかの、二通りというのは、どういいうものか。困っている人も多いに違いない。
だって、普通サイズの駐車場には、止められないんだもの。運転するのも、恐いんだもの。
そんなことは我関せずという顔の娘。
なんとか、コミュニュケーションが取れないものだろうか。模索の日々。

今年は、埼玉の川越で、意識障害学会がある。
今年こそ、画期的な治療法の発表がありますように。

スパルタ

病院内でベッドの引越しがあり、にぎやかな病棟に移った。
今までは、一生涯寝たきりの患者がいて、具合の悪い人も多くて、静かにしていないとだめだったけれど、今は、とてもにぎやかである。
それとともに、訓練がスパルタになった。
車椅子散歩のあと、端座位とうつ伏せのセットで訓練。
どうか、訓練に耐えて少しでも良くなりますように。

渡る世間はやっぱり鬼ばかり

相手の保険会社からの返事が来た。難しい言葉がずらずらと並んでいたが、要は、こちらの要求は全て飲めないということらしい。娘の事故の経緯、加害者の刑罰やらは、認めるということらしいが、保険会社からの出る金銭に関しては、全てＮＯということだ。
弁護士に言わせると、こういう返事が当たり前らしいが、わかっていても、落ち込むものである。
これが、軽症の事故ならともかく、めったにない重症である。今の家では娘は住むことが出来ない。
天井から吊るすリフターの取り付けも出来ないし、車椅子も、リクライニング型なので、移動する事が出来ない。
お風呂も、入れないし、家族も、ヘルパーの助けが無いと24時間寝る事が出来ない。
しかも、不足分は、国や市町村の補助を受けろとも言う。
国は、我々を助けてくれないから。
本当に悔しくて、悔しくて。娘だって、１４才の頃からの人生をなくして、ベッドの上で、いまだ、点滴やら、吸引やらで、胆のう炎やらで、のたうって苦しんでいる。食べ物だって、おなかに開けたチューブで、流しているだけ。
意識が無く、自分で自由に動けないけれでも、痛みはわかるらしい。熱が出て、脈が速くなって、顔色が白くなる。
そんな状態なのに、生きていくためのお金が充分にはもらえない。

加害者は、楽しく、美味しいもの食べて、遊びまわっているのになぁ。
娘は、それら全てを失った。今夜は、ちょっと気持ちを浮上させられそうにない。

かすかな意識が？

最近、物をつかめるようになった。以前から、物はつかんではいたのであるが、それは、ほとんど受動的なものであって、つかませられていたというほうが正しい。
しかし、最近はかなりはっきりとした意思を見せ始め、自分から、手を伸ばしつかんで来る。さらに好みも出ているようで、気に入ってる物をとる時は、かなりすばやいし、取られないように力を込めている。
病院に行く度に色々な品を変えて、つかませてばかりいる。
脳死さえ疑われた娘の状態を考えれば、五年もたって、このぐらいの事という些細な変化でもあるが、今私はかなり有頂天になっている。やっと春を満喫できるかな、今年。

痙攣起こる

昨年、十月末頃から、頻繁に痙攣が起こり、ずっと点滴のお世話になった。
脳への酸素量はダメージを損なわない程度だったのが救いである。
しかし、何が原因というものがいまいち不明。
肺炎か？たんせきか？風邪か？
いろんな検査をしても原因はわからずじまいの、この二ヶ月。
娘は物言えずに苦しんだ。
意識の無いというのは、ほんとに辛いものである。

えんげの検査

近くに東京歯科大千葉病院があり、予約を取ってえんげ検査に連れて行った。
結果は×。というより、検査そのものが出来なかった。
レントゲンで、飲み込んだものの流れ込む方向を調べるんだけれど、待てども待てども飲み込まない。
何度かトライしてもらったものの、遂に撮影出来ず。
味覚そのものも無いのかもしれない。
食べられる日がやってくるのだろうか？

ひき逃げ犯逮捕

やっと捕まったんだなぁ。大阪でのひき逃げの犯人。
しかし、ホストとはねぇ。なんだかなって感じである。
遺族はたまらないにちがいない。捕まったとしても。
暗い暗い闇の底から這い出すのは、とても大変なのである。

娘は１０代で事故に遭ったので、人生を狂わされるのは親だけで済んだけども、親が事故の場合は、狂わされる人が多いし、その人生も長い。
まだ生まれ来ていない子供にとってこれからの人生に幸あれと祈る。

まさかの痙攣

事故以来、起こっていなかった痙攣を２５分間という長い時間で起こってしまった。
痙攣止めの薬は、もう随分と前に絶っていた。
ん～。まさかなぁ。痙攣なんてなぁ。
これで随分と脳細胞がだめになったんだろうなぁ。
これで意識の回復の望みが遠くなったんだろうなぁ。
娘の状態は悪くなる一方で、裁判の準備が整い、これからまた長い戦いが始まる。